集大成の個展

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集大成の個展

すべてを出し切っちゃったって感じ。だから、感想っていっても何もないの(笑)。
はじめるときから最後の個展といってきましたけど、今回は私の集大成ですね。
置いてあったものも全部生かして、会場全体を一つの世界にしました。

すぐ浮かんだ会場構成

準備は一年前、個展の話がもちかけられたときから始めました。
今年(2015年)に入って、2月いっぱいで絵画の配置を決めたり、組み合わせを考えたり。
3、4、5月で木彫の小品を新たにつくり続けました。
会場構成はすぐ頭に浮かびました。
このギャラーができたときから、壁が坂になっている空間を生かしたいとずっと思っていたんです。
斜めの壁面を使った人が一人もいないので、あそこを何とか使ったら、デザインされた方もきっと喜ぶんじゃないかと。

具体的なイメージがじわりじわりと目に浮かんできたんです。

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時代を表す絵

はじめは床に炭を使ったらと言われたんです、後援会のほうから。でも炭は会場を汚してしまうし、新しく焼くのもむずかしい。
それなら芝生にして、小径(こみち)をつくりたい。
若い頃、兄から自由に使っていいといわれた100坪ぐらいの土地に小径をつくって、ベンチを置いて花畑にしたことがあったの。
そんな思い出を楽しみながら、絵画を近くで見てもらうように、40cmの幅で径をつくったんです。
絵の小作品は壁一面にまとめて並べたいと思いました。
いちばん最初に描いたものも入っていて、いろいろ順番を組み合わせてみました。
そこには近年までの時代が出てるんです。だからタッチが全然違うの。

同じ作者とは思えない、そんなところをねらったんです、自分の歴史として。

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木に語りかけながら、着々と

今はちょっとほっとして疲れが出てますけど、苦労っていう苦労はなかったですね。
木彫は、着々着々とつくって。
いやだと思ったことがない。
あわてず、あせらず、それでも急いで、一つ一つ切って、なたでたたいて、紙やすりで磨きをかけて……。
杵形がいっぱいあるんですよ、アトリエに。
でも合わせるものがなかなか見つからなかったり。

今回、新作をたくさんつくりましたけど、削った木片も、使わなかった杵形もまだいっぱい残っているんですよ。

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根気のいる仕事です、私にとっての木彫は

丸太から切って木目を出す、そこからぬくもりを出すんですから。
でも、苦労に思ってやったことはないんです。
「あなたのふるさとはどこなの? 出会ってよかったね」と語りながら木彫をするの。だからぬくもりがあるんだと思う。
磨くにも一つ一つ、温かみのある、ぬくもりのある磨き方なんです。

一つ一つに愛情があります。それがぬくもりにつながっているんだと思います。

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チャレンジは尽きない

絵画は夜中に描きます、人の音がしないときに。
描くのは速いです。瞬間的にできあがってしまうんです。
彫刻は温めながら、じっくりと。まだアトリエにいっぱい木がありますから。
木彫、絵画は自分の選んだ道。これからも、それは変わりません。
体力はなくなったんですけど、やっぱり好きな道ですね。

誰もつくったことのない作品、誰もまねのできない作品、それを自分のものとして描き、彫り続けていきたいと思います。

(2015年8月16日、小金井宮地楽器ホール ロビーにて、談)

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兄との思い出の庭を散策するように、会場は小径にそって全作品(絵画は56点、木彫は大・中13点、小品は100点を超える数)が鑑賞できるように構成された

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木彫のシンボルともいえる、杵形。どこから見ても、ユーモラスで温かみのある、さまざまな表情を見せる。絵の中にも、屏風の後ろにも、吊られた板の上にもやさしげに隠れている

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ギャラリー初の試みに挑んだ、斜面の空間。壁面最上部から会場中央に伸び下がる板には木彫作品が取り付けられ、それが絶妙なライティングで芝生の延長の空間に、幻想的な影を映し出した

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会場入り口には、岡本太郎氏との記念写真、美術評論家・針生一郎氏による論文の抜粋、さらには本人の創作への想いが飾られた

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2015年6月11〜14日
小金井 宮地楽器ホール
(小金井市民交流センター)
地下1階 市民ギャラリー

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兄との思い出の庭を散策するように、会場は小径にそって全作品(絵画は56点、木彫は大・中13点、小品は100点を超える数)が鑑賞できるように構成された

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木彫のシンボルともいえる、杵形。どこから見ても、ユーモラスで温かみのある、さまざまな表情を見せる。絵の中にも、屏風の後ろにも、吊られた板の上にもやさしげに隠れている

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ギャラリー初の試みに挑んだ、斜面の空間。壁面最上部から会場中央に伸び下がる板には木彫作品が取り付けられ、それが絶妙なライティングで芝生の延長の空間に、幻想的な影を映し出した

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会場入り口には、岡本太郎氏との記念写真、美術評論家・針生一郎氏による論文の抜粋、さらには本人の創作への想いが飾られた

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2015年6月11〜14日
小金井 宮地楽器ホール
(小金井市民交流センター)
地下1階 市民ギャラリー